ミス・甲子園

GWが終わってから、のんびりと千倉へ行ってきました。
道路はガラガラ、お天気にも恵まれて、良い気分転換となりました。

びっくりしたのは6日の、つくば市の竜巻のニュース。南房総の千倉では通り雨程度だったので、東京もヒョウが降ったと知り、にわかには信じられない思いでした。なんだか昨年の大震災と大津波以降、自然の脅威にさらされているような気がします。

それはともかく、タイトルの「ミス・甲子園」ですが。
ジョイは久しぶりの千倉を良くおぼえていて、散歩に出ると海のほうへ行きたがり、ちがう道へ出ようとすると座り込んで抵抗。
砂浜に転がっている棒切れを見つけ、前足で押さえ、期待に満ちた目でこっちを振り返る。

はいはい。投げてあげるよ。あんたはおもちゃより、棒切れのほうが燃えるんだよね。それっ!
棒切れを追いかけて、走る、走る。まるで草原を駆け抜けるチーターかヒョウのごとき走りです。長い被毛を風になびかせて、棒切れめがけて頭から砂に突っ込むスライディング。
「お母さん、もっかい、もっかい!」
これを飽きずに繰り返すジョイ。

まさに、棒切れ命のミス・甲子園。

亡き愛犬・シータはボールを放っても「なあに? ボール? めんどくさい」と、さっぱりレトリーフしないレトリバー犬でした。
波が怖くて、海に近づこうともしなかったシータとちがい、ジョイは果敢に海の中までザブザブと棒切れを追いかけていきます。

それはいいんだけど……あんた、まだ飽きないの? まだ疲れない? もう1時間半もやってるよ? お母さん、そろそろおうちに帰りたいんだけど。はいはい。もっかいね。

あーあ、まだ若い頃にシータのような癒し系の子が来て、もういいかげんトシ取ってから、ジョイみたいなタフな体育会系女子が来るなんて。なんという巡りあわせ。

千倉は、次男・慶太がまだ小学生だった頃から来ており、思い出がたくさんあります。やはり小学生のお友だちを引き連れて、海で遊ばせ、夕食は大きなお鍋でカレーを煮て。夜は夜で、暗くなるのを待ちきれずに花火大会。
忙しかったけど、子どもと一緒に思いっきりはじけていた夏。

どこへ行っちゃったんだろ、あの夏は。
思えば遠くへ来たもんだーー初夏のような日射しに碧くきらめく海へ目を向けると、そんな一節が心をよぎります。

早朝4時半。潮騒の音に目覚め、ベランダに出ればミルク色のもやが立ちこめて、海と空の境も消え失せています。ただ無限の水の広がりを感じさせる、オゾンを含んだ大気のみ。
なぜか、どこまでも碧い海よりも、一面ミルク色のその景色のほうがしっとりと胸に染みわたった春の千倉でした。